05 // 夢の結末はいつだって喪失

森の中を1人で歩く

の歩いてきた道は無惨にも木がなぎたおされている

そして、は口に手を当て1人呟く

『んー…何しよっかなあ…』

1人飛び出してきたはいいが、特にすることもなくブラブラと時間を持て余していた

人の気配を感じ振り返ると、そこにいたのは…

『白?』

そう、髪を下ろし、女の子のような白が静かに立っていたのだ

「おはようごさいます
さん」

『おはよ、白
てか、その格好…あたしより可愛いよ!!
男に負けるとかー!悲しすぎるでしょ!』

さんも十分可愛いですけど?」

『んもーお世辞言ったって何も出ないよー!』

ケラケラと笑いながらおばさんクサイことを言う

「本当ですよ」

は確かに顔は中の上ぐらいだが、真っ白な肌にはえる真っ赤な髪と目
スラリと伸びた長い手足、親しみやすい性格、そこらの美人よりは愛嬌のある子なのだ

『だからーお世辞はいいってば!!
自分の容姿は自分が1番わかってるからさー
…それより何しにきたの?』

がそう尋ねると、白は少し考えるような素振りを見せてから、にこやかな笑みを浮かべ

さんに手合わせしてもらいたくて」
と言った

その言葉に少し驚きながらも、も白同様、にこやかな笑みを浮かべながら

『別にいいけど』
手加減はしないよ、と付け足した

「もちろん」
その言葉が合図となり、カキン、とクナイとクナイがぶつかりあう金属音が森の中になり響いた



*******

「なかなかやりますね…」

ハアハア、と肩で呼吸をしながら呟く白

『…そっちこそ』

白ほど息は切れていないが少し苦しそうに話す

「血継限界は出さないんですか?」

『白は?出さないの?』

「ボクのは森だと出せないんですよ」

嘘こけェ!!
そんな役立たずな血継限界あるかよ!
『ふゥ…そろそろ疲れたし、やめにしよ』

「そうですね
ボク、ナルトくんに会いたいですし」

『はあ?ナルトに?何で?』

あからさまに不思議な顔をする

「若い芽は早めに摘んでおかないとね…」
フフ、と不適な笑みを洩らしながら白は森の奥へと消えて行った

…今のセリフ、白が言うと怖ッ



*******

『ただいまァ!』

ガラリ、とタズナさんの家のドアを開けて入ってきたのは

「おかえり、ちゃん!」

「おかえり
、アンタ、こんな時間まで何してたのよ」

『えー…えヘへ
あたしのことはいいからさ!
サクラたちは何してたの?』
白のことは行っちゃダメだよねぇ?
うん、ダメだよ!

「私たち?私たちはあ―」
「木登修行だってばよ!!」

サクラの言葉に被せるようにして言葉を発したナルト

「ちょっと!私がしゃべってたのよ!」

ガツンとナルトにサクラの鉄拳がとぶ

『ああ、木登修行ね
私も昔、やったことあるよ
チャクラコントロールが1番上手かったの、サクラでしょ?』
サクラはチャクラの量は多くないけど、医療忍者とか幻術使い向きだからね

『んまあ、サスケとナルトは五分五分って感じじゃない?』
ナルトもサスケもチャクラ量はあると思うんだけどなー
磨けばいくらでも光る素材のオンパレードだね、この班は
お前は?って?
あたしはね、もうすでにピカピカよ!
て、誰に言ってんだ、あたし

「…お前何ブツブツ言ってんだよ」

『ハッ!ブツブツなんて言ってないわよ!』

「言ってたわよ」

ナルトもうんうん、と頷く

『うっそだあ!』

「嘘じゃねえよ」

『う・そ!』

「だから、嘘じゃねえって」

『うーーーーそおおおーー!』

「嘘じゃない」





エンドレス



*******

「ちょっと!!朝よ!」

サクラがの肩をつかみゆさゆさと揺さぶる

『おおう!びびったー』

「ねえ、アンタも行くの?木登り修行」

『行くー!!どうせ暇だしイ
サクラは?行くの?』

「私はタズナさんの護衛があるから」

『そっかー、じゃあたしはサスケとナルトをしごいてやるか!』




*******

…数日後

「ナルトたちはいったいどこ行ったんだ?」

「さあ?でも、サスケくんがいるから大丈夫じゃない?ちょっと心配だけど…」

「はあ…多分森にいるだろ。探しに行くか」




「ヘヘェ」

「ナルトがあんなとこまで登れるようになったわけ?」

ナルトは木の1番高い枝のところに立っていた

『あたしの修行の成果よ!』

「違うってばよーちゃん!オレの実力だってばよ!」

『なに言ってんのよ、チビ』

「チビってヒドいってばよー!!」

と、ナルトが言葉を発した瞬間、ぐらり、ととナルトが木から落ちそうになったのだ

「あ!」

「マズい!!この高さから落ちたら……!!」

「うわあ!」

『きゃあ!』

ぴたり

サクラがうっすらと目をあけると

木の枝の下、まるでコウモリのようにぶら下がっているナルトと

「『なーんちゃってェ!ひっかかった!ひっかかった!』」

『やったねナルト!打ち合わせしたかいがあったってもんだねー』

「こんなにアッサリひっかかるとは思ってなかったってばよ!」

ガハハハと笑いまくるナルトと

が、

フッ

気を緩めたのかナルトの足が木の枝から離れる

『ぎゃーーー!ナルトォ!コレ、打ち合わせに入ってないしイ!!』

真っ逆さまにに落ちていくナルト

「あ"あ"あ"ぎゃあああぁ!」

「このウスラトンカチが」

すると、どこに隠れていたのかサスケが現れ、ガシ、とナルトの足をつかんだ

「キャーさすがサスケ君!しびれるゥー!」



*******

カカシにこってり絞られたナルトと

『もー!何でみんなジョークというものを解らないのかな?』
と、サスケに尋ねながら
はあ、と短くため息をついたつもりが思ったより長く深いため息になって出てきた

「あれはジョークの範囲を超えてるだろ
お前はともかく、ナルトはかなり危なかったぞ」

『ナルトも大丈夫だったよ』

「はあ?ナルトはお前と違って普通の人間だぞ?」

『は?あたしも普通の人間ですけど!!』

そかそか、サスケはナルトが九尾だって知らないもんなあ
…いつまで…4人で仲良くできるのかな
この、幸せな時間が永遠に続けばいいのに


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