07 // あなたは太陽のように、あたしを照らしてくれたんだ
…意地っ張りだなあ、もう
でも、良い経験になるか
ボロボロに負けちまえこのヤロー(オイ
「この術はボクだけを写す鏡の反射を利用する移動術
ボクのスピードから見れば君たちはまるで止まっているかのよう…」
「まさかあの少年があんな術を体得していようとは…」
「クククク…」
『やっぱり…血継限界か』
「ちくしょう…血継限界がなんだってんだ
こんなとこでくたばってられっか。オレには叶えなきゃなんねェ夢があんのに…」
「…ボクにとって忍になりきることは難しい。できるなら君たちを殺したくないし…君たちにボクを殺させたくもない…
けれど君たちが向かってくるなら…ボクは刃で心を殺し忍になりきる。この橋はそれぞれの夢へと繋がる戦いの場所
ボクはボクの夢のために、君たちは君たちの夢のために恨まないでください。ボクは大切な人を護りたい…
その人のために働き…その人のために戦い…その人の夢を叶えたい…それがボクの夢。そのためならボクは忍になりきる。
あなたたちを殺します」
「サスケ君!ナルトォ!つぐみちゃん!そんな奴に負けないでぇ!!」
「やめろ。サクラ。つぐみはともかくあの2人をけしかけるな!」
「え?」
「あいつらにはまだ心を殺し、人を殺める精神力はない。
おの少年は忍の本当の苦悩をよく知っている」
そう…忍に大切なのは人を殺せるだけの精神力
しょうがない、これが忍者という仕事を選んだら誰もが必ず通る道…
白とサスケ、ナルトが戦っているのをボーっと見ていたあたし
ふっと緊張の糸をほどいた瞬間、誰かに蹴られて翔んできた石が顎にクリーンヒット
あーダサいなあ、あたし。
などと思ってる間に目が霞み、意識がどんどん遠くなって行くのを感じた
一瞬、目の前が真っ白になり、何回か瞬きをするとだんだんと周りの景色がはっきりとしてくる
真っ白な部屋、だ
壁も床も天井も―…
赤いものが視界に入る
あたしの、髪の毛だ
でもおかしい
あたしの髪の毛は肩ぐらいで切りそろえてるはずなのに
この髪の毛は少なくとも腰のあたりまであるように見える
手足を見る
小さい
まるで幼稚園児だ
そして白い
気持ち悪いほどに
そして思い出す
ああ、これはあたしの昔だ
誰にも心を許せず、ただただ、戦闘技術を磨いていた頃
―なぜ、いきなりこの頃を思い出したのだろう
そうか
今日はあたしが感情を取り戻した日だ
そう、それは7年前の事―
あたしはその日、ずっと家に篭ってると体に悪いから、と言われ
サスケたち一家と里のテーマパークに出かけていた
その頃のあたしは妙に大人びていて、その日も周りのものに大して興味も示さずボーっと歩いていた
周りを見ていないのが悪かった
自分がどこにいるのか、全く解らない
どうしよう、と考えていると前方に人影
あたしは急いでその人影を追いかける
ポンっと肩を叩くと人影は振り向く
見た感じあたしと同い年くらいの男の子
金髪に青い眼、頬の3本の傷(髭?)が特徴的
ちっハズレた…もっと大人に見えたのに
と、内心失礼なことを考えながらも
『ここ、何処?』
と聞くと
その少年は人なつっこい笑みを浮かべ
「なんだァ?迷子かァ?」
馬鹿にしたような言い方に少しイラっとしたが、そこは抑えて
『道に迷ったの。早く、ここが何処なのか説明してよ』
「何処かって言われてもなァ…
説明するのは難しいから、家の場所教えてくれってばよ!
オレ、この里の建物の場所はほとんど把握してっからよ!」
第1印象はコロコロ表情が変わって面白い、だ
少し感情が欠落してるあたしにとっては眩しい存在だけども
『うちは一族』
あたしがそう言うと、その子は、目を真ん丸くして
「お前、うちは一族なのか?」
と聞いてきた
名字は南都だけど、戸籍はうちはだったことを思い出し、
コクン、と頷くと
「じゃあお前、スゲーんだな!」
と言って笑った
その子の話は面白くて、久しぶりに退屈しなかった
それに、初めて通る道がたくさんあった
普通、通らないだろって感じの抜け道
子どもしか通れないぐらい細い近道(穴?)
その場所はうちは一族の集落から意外と遠かったらしく、
はぐれたのが昼頃だと考えると着いたのが夕方頃だった
みんな、心配してるかな、と呑気に考えてると
うちはの人がひとり出てきた
「さん!?大丈夫?」
その人は少年をチラリと見ると
「もしかして…こんな化け物とずっと一緒に?」
化け物…?
その言葉にピンときた
この子は「うずまきナルト」なんだ
九尾の狐を封印された少年
あたしはナルトの事が気になりチラリと横を向いた
するとナルトは少し傷付いたような表情で微笑んできた
腹がたった
九尾が封印されていると言うだけで、こんな子どもを化け物よばわりする大人に
『道に迷ったから、ここまで案内してもらったのよ』
見下すように言うと、その大人は顔を少し歪めて
「そ…そう
じゃあ私は人を呼んで来ますね」
と言って集落の中に入って行った
あたしはナルトの方に振り向くと
『今のうちに帰りなよ
このまま居ても、酷いこと言われるだけだよ?』
「もう慣れたから、大丈夫だってばよ!
それより、アンタはオレなんかと居て大丈夫なのか?」
ナルトは明るい笑顔を見せながら言った
『あたしは大丈夫
だから行きなよ、今のうちに』
あたしも少し微笑みながら、そう言った
するとナルトは、ニッコリ笑いながら
「じゃあな!」
と言い去って行った
それからしばらく待つと、イタチとサスケが来た
凄く心配してくれたみたいなので、軽く微笑むと
イタチは微笑みを返してくれたのにサスケは「が笑った…!」とか失礼なことを言ってた
その日からあたしは少しずつ、感情を表に出し始めた
それと同時に、ナルトを観察するようになった
あたしはアカデミーに通ってなかったけど、
まだ下忍にすらなってないナルトを追いかけるのは簡単で
大人、子どもから言われる悪口、批判に負けない強さにあたしは憧れた
ナルトはあたしの目標で光になった
火影様の言いつけで、やっとナルトと再会!と思ったのに
ナルトはあたしのことを覚えてなかった
その時、あたしがかなりのショックを受けたのは誰にも言っていない
「……ッ」
「ッ!」
体がグラグラ揺れる感覚
の後に、意識が現実へ一気に引き戻される感覚
うっすらと目をあけると、サスケとナルト、サクラのどアップ
『お、おはよう』
あたしがオドオドしながら言うと
サクラが今にもこぼれそうな涙を目にうかべて、凄い勢いで怒鳴った
「おはようじゃないわよーッ!
どんだけ心配したと思ってんの!」
そう言うと、サクラはピンと張っていた糸がほどけたみたいで、ワンワン泣き出した
あたしが困っていると、サスケが
「サクラ、そろそろ泣きやめ。が困ってる。」
「そ…そんな事、言われたってェ…!すぐには泣きやめないわよォ!」
なぜかキレるサクラ
『ありがと。サクラ。心配してくれたのは伝わったよ
だから、サスケの胸で心おきなく泣きなよ。無期限で貸してあげるから』
すると、サクラはうわーーん、と言いながらサスケの胸に飛び込んだ
「はっ離せよ!サクラ!」
「サクラちゃん!こんな奴の胸じゃなくて、オレの胸に飛び込んでこいってばよ!」
その光景を見て、頬が緩んでいたあたしは頬を引き締め、カカシの方に振り向いた
『カカシ、白と再不斬はどうなったの?』
「……死んだよ」
と言ってある方向を指差した
その方向を見ると、白と再不斬の死体が並んでいた
「白は、再不斬をかばって死んだんだ」
カカシはしばらく間をおくと、小さな声であたしに話しかけた
「ナルトから、九尾のチャクラが漏れた
封印自体は解けていないが、いつ封印が解けるかわからない
しっかり見張っておけよ。もうすぐ中忍試験もあるしな」
あたしはコクリ、とうなずいた
「そろそろ行くぞーお前ら!」
その声に反応してみんなが集まってきた
『ふう。大変な任務だったねえ!』
「「「アンタ(お前)何もしてねえだろ!!!」」」
『あーヒドい!そう言うの差別って言うんだよ!』
「差別じゃないだろ。本当の事だし」
『このクソヤロー!!サスケなんて白に負けちまえばよかったのに!』
「サスケは白に負けたってばよ!で、そのピンチを救ったのがオレってワケー」
「もとはと言えばお前のせいだろ!このウスラトンカチ!」
『わーナルトすごーい!あたし尊敬しちゃうなー』
「オレは火影になる男だからな!」
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