08 // たったそれだけのこと、なのに
『あ!』
「グッ!モーニーン!!サクラちゃん!!ちゃん!!」
3時間たったころ…
「やー諸君おはよう!今日は道に迷ってな…」
「いつも真顔で大ウソつくなっ!!!」
*******
いつも通り、任務終了…と思いきや
あたしたちは砂の忍に絡まれていた
…そういえば、カカシが中忍試験があるって言ってたな
あたし、とサクラとナルトの前には、あたしたちよりちょっと年上の男女
額当てから、砂の忍だということがわかる
1人ボーっと考えてると
ガッ、と物が投げられる音とサスケの気配
「よそんちの里で何やってんだテメーは」
「サスケくーん!!」
『あー!サスケ!
良いとこで邪魔すんなよなー
折角、戦えると思ったのに!』
「黙れ、ウスラトンカチ」
グサッ
あたしのガラスのハートに言葉の矢が!
「おい…ガキ、降りてこいよ!オレはお前みたいに利口ぶったガキが1番嫌いなんだよ」
『あのさ、アンタら中忍試験受けに来たんだよね?
て、ことは後ろの木にぶらさがってる人ってお仲間?』
「お前…オレの気配に気付いたのか?」
そう言うと、その少年は砂を使いあたしたちの前まで移動してきた
「聞いてくれ…我愛羅。こいつらが先につっかかってきたんだ」
「黙れ…殺すぞ」
砂…我愛羅…
一尾、守かくの人柱力か…
見たのは初めてだけど…この人カッコイイな
孤独で…危険な香りがして
あたしの好みどストラーイクッ!
無意識のうちにガッツポーズをしていたようで
周りからの、とても冷たい視線で気付きガッツポーズしていた手を後ろにまわした
「…おい!そこのお前…名は何ていう?」
「え?わ…私か?」
「違う!その隣のひょうたんだ」
「…………砂漠の我愛羅」
声聞いただけでドキドキなんですけど!
これはもう恋でしょ!
あーめっちゃテンション上がるーっ
頬がどんどん揺るんでくる
簡単に言うと、あたしの顔はニヤけててかなり気持ち悪いだろう
「あと…そこの女」
そう話しかけられ、慌てて、揺るんでいた頬を引き締め答える
『あっハイ、南都…デス』
「あのさ!あのさ!オレは?オレは?」
「興味ない…行くぞ!!」
いつものあたしなら、ナルトを侮辱した奴は片っ端からぶっとばすのに
そんな気も起こらないぐらい、頭の中は我愛羅でいっぱいで…
「ちょっと!?どうしたのよ、妄想でもしてるの?」
『サクラ…あたし、恋しちゃったかも』
シーン
『何その反応!
あたしだって人並に恋するんだから!
馬鹿にすんなよっ』
「や…馬鹿にしてるワケじゃないんだけど…ねえ」
サクラは苦笑いを浮かべながら、サスケとナルトに尋ねる
「それよりさ、ちゃんは誰が好き何だってばよ?」
「アンタ馬鹿?
話の流れから、砂の人だってことぐらい解るでしょ?
そして、の趣味を考えると…あの、我愛羅って人でしょ!」
あってる?あってる?と聞きながら、好奇心むきだしのサクラ
コクン、と頷くとあたしの顔は真っ赤に染まっていった
「キャー我ながら凄い推理!
にもこんな女らしい一面があったなんて…
応援するから!お互い頑張りましょうね」
『うん!絶対、我愛羅のハートを掴んでみせるから!』
「……女の子って、凄いってばよ…」
そして中忍試験当日
『うふふふふふ』
そう言って気持ち悪い笑い声をあげるあたし
「アンタ、今かなり気持ち悪い顔してるわよ」
『だってー我愛羅に会えるしー?
人殺しても怒られないし?
何なら、試験管が来る前に要らない奴ら全員殺してあげようか?』
「ちょっと!!声がでかいのよっ!」
ぐるり、と辺りを見回すと殺気ムンムンの忍たち
『…みせしめ』
あたしはククッと笑うと、1番近くにいた忍に飛びかかった
腰から素早く刀を取り出し、ソイツに向かって斬りつける
カシャン、と音をさせて刀を鞘に収めたと同時にその忍の首が落ちる
『そんなに殺気出してると殺しちゃうよー?』
おどけた調子で言うあたしとは対象に静まりかえった室内
「そこまでにしときな、」
『イビキさん』
そう声がして振り返るとイビキが立っていた
「待たせたな…これから中忍選抜第一の試験を始める
座席番号の札を受け取り、その席に付け」
そう言うと、紙が配られ始めた
その紙は…
『ペ…ペーパーテスト』
そう、普通の下忍には解けないような難しい問題が10問
いや、正式には9問
10問目は空白になっていた
「試験は一時間だ。始めろ!」
イビキがそう言うと、みんな鉛筆を持ち、問題とにらめっこを始める
『無理』
しょうがなく周りを見渡すと、カンニングがばれて会場の外に追い出されている者が数人
その光景を見たはこのテストの意図に気づく
ばれないようにカンニングしろってか?
あたし、カンニング向きの能力は無いと思うなー
は幼い頃から、自己流で血継限界を磨いてきたため、
自分でもどんな能力なのか、すべて把握しているワケではないのだ
一人、頭の中で試行錯誤しているとカツーンと音がして、頭に鈍い痛み
近くには黒光りするクナイが落ちている
クナイが飛んできたと思われる方向を見ると、真っ青な顔をしたコテツ
『テメェ!八つ裂きにされたいのか?アァ゛!?』
の周りにはドス黒いオーラが見える
「すいません!さん!」
そんなを見て、土下座までして謝るコテツ
だが、その目線は助けを求めるようにイビキを見ている
「よし!これから第10問目を出題する」
『まだ30分もたってませんよ!イビキさん!』
「…この試験はオレがルールだ」
その言葉を聞き、ほっとしたように溜め息をつくコテツ
少々、不服そうな顔をしながらもは席に着いた
「最終問題についてのルールを追加させてもらう」
長ったらしい説明にウトウトし始めた頃
「では始めよう。この第10問目…¨受けない¨者は手を挙げろ」
ちらほらと手が挙がってく中、はその光景に目を疑った
サスケとサクラも驚いたように目を見開いている
ナルトが手を挙げていたのだ
何で?、はそう言おうとしたが、ナルトが机を叩いた音に、その声は掻き消された
「なめんじゃねー!!!オレは逃げねーぞ!!!受けてやる!!
もし一生下忍になったって…意地でも火影になってやるから別にいいってばよ!!!
怖くなんかねーぞ!!」
ナルトの言葉に、会場に張りつめていた緊張の空気が和む
「よし。ここに残った78名全員に…第一の試験合格を申し渡す!」
『やったー!よかったね!ナルト!』
「オウ!」
このメンバーの合格は、ナルトのお陰だろう
ナルトの言葉がなくては、もっと大勢の者が諦めていた
やっぱり…ナルトは凄いね
ナルトを見つめながら、は微笑んだ
陰から…自分を見ている者の存在に気づかずに